Career02
鹿島工場 品質管理課 課長
八木 小百合 Yagi Sayuri
学生時代は、食物栄養学科という主に栄養士を養成する課程で学びました。就活の時期を迎えて、同級生の多くは栄養士として就職することを目指して活動していましたが、私はやりたいことを見つけられずに悩んでいました。そんなときに開催された就職相談会で、分析業務に従事している卒業生の話を聞く機会がありました。白衣を着て、分析業務を行う姿を想像し、憧れを抱くようになりました。
調べてみると、食品会社には品質管理の部署で分析業務があることを知りました。学生時代、化学分析については実験などで経験したことがありましたが、それが実際の業務に通用するという自信は持てませんでした。しかし、実践あるのみと、食品会社の品質管理業務に絞って就職活動を進めました。地元の川越に、当時、ヨーグルトやプリンなどの食品製造を行っていた全酪連の工場があり、そこに分析センターが併設されていることを知り、入会を志望しました。
入会後は、希望通り分析センターに配属され、乳製品や飼料の分析業務に携わりました。当時は食品工場内に商品開発の研究所も併設されていたため、開発中の新商品の栄養成分試験や食品の安全性検査など、幅広い分析業務を経験できました。その後、分析センターが川越から鹿島に移転することとなり、自給飼料や乾牧草の栄養成分分析に特化した業務を担うため、新たな建屋内に分析設備などを作業動線に配慮して配置することや移転後のオペレーションの再構築に取り組みました。移転計画決定から1年間、川越と鹿島を行き来したことは良い思い出です。
その後、購買生産指導部 飼料製造課に異動して、配合飼料を設計する全国の支所とその製造を担う工場との橋渡し役として、製品の品質や供給価格を管理する立場で業務を行いました。また、全国の飼料工場を訪問する際には、品質管理の現場にも顔を出し、それまでの分析経験を生かして品質管理業務が正しく行われていることを確認し、必要に応じてフォローにあたりました。
現在は、鹿島工場の品質管理課長として、検査業務の管理監督をはじめ、分析結果後の成分規格、品質確認を行っています。特に原料に付着した害虫や外観に関する確認は、品質管理課の検査が工場における最後の砦ですので、小さな変化も見逃すことのないよう目を光らせています。また、支所の購買推進担当が設計した配合飼料の製品管理では、原料の配合割合が工場における製造条件や飼料安全法などの関連法令に適合していることを確認します。万が一、製品の品質に対するクレームが発生してしまった場合には、購買推進担当や製造部門と連携し、発生原因を特定し、再発防止に努めています。
分析センター
購買生産
指導部
飼料製造課
鹿島工場
品質管理課
地元の川越で過ごした14年間では、多岐に渡る分析業務を経験することができました。この経験が、私のキャリアを重ねていく上で、大切な財産になったと思っています。また、2012年の分析センターの移転では、それまでに経験のなかった業務に挑戦し、未知の領域へ踏み込んでいく勇気とやり遂げたときに得られる達成感を味わいました。
飼料の生産にあたる飼料工場と、配合飼料を設計し酪農家に提案する支所の購買推進担当との橋渡しをしながら、配合飼料製品を管理、統括する業務を担当しました。一方、それまでの分析業務の経験を生かして、各工場の品質管理が適正に行われているかを確認し、フォローする役割も担いました。ひとつの分野を極める努力によって、新たな可能性が広がることを学びました。
安全・安心な製品を提供するという品質管理の仕事は、全酪連という組織に対する信頼を育む意味で重要な役割を担っていると思います。とはいえ、自分たちの分析結果を伝えて、直してくださいというだけでは、何の解決にもなりません。製造部門との連携のもと、十分な話し合いをもって改善のための方向性を共に見出していくことが大切だと考えています。
入会以来、分析業務一辺倒で過ごしてきましたが、飼料製造課に配属となって、配合飼料の基礎や関連法令の知識を一から学ぶことができました。特に、法令関係の知識はわかりづらく、読み解くだけでも大変だったため、後任のために要点を自分なりに整理して、噛み砕いて伝えていく方法を考えました。最初は品質管理課長を対象にテストしてブラッシュアップを重ね、各支所の若手向けの研修会で指導しました。それによって人が成長し、組織が良くなっていくことにやりがいを感じましたし、これが自分のやりたかったことかもしれないと思うようになりました。
これまでのキャリアのなかで「分析」「製品管理」「品質管理」の各業務について、組織の中央と現場の両面を経験してきました。特に購買生産指導部在籍時に培った全国横断的なネットワークは私の貴重な財産です。今後は、製造の最前線に身を置き、得ることができた知識や経験を生かして、製造と品質管理の枠を超えて、製品の品質向上に貢献できる仕事に取り組みたいと考えています。ものづくりの現場とそれを供給する現場では、相反する意見が生じることもあります。互いがそれぞれの主張や言い分を出し合い、コミュニケーションを深めることで、互いの意見を認め合うことができれば、風通しの良い組織が実現すると思っています。そんな明るい未来に向かう道を、鹿島工場から発信していきたいです。
現在は、配合飼料製品の新たな管理システムの稼働準備に携わっています。工場、支所、本所間の従来の業務を、一元管理できるシステムを導入し、最新の情報にリアルタイムでアクセスできる環境が実現します。プロジェクトメンバー全員で知恵を出し合い、議論を重ねながら、新システムを一日も早く稼動させることが目標で、システムが軌道に乗り、利用する職員たちが快適に業務を行える日が来るのを心待ちにしています。