北米コンテナ船情勢 |
北米西海岸航路は乗継航路を含めて主要な本船スケジュールの乱れが続いています。世界的な物流状況の悪化に加え、天候不良、輸送需要の高まりを受けて、アジア地域の中継地を中心に遅延が発生しています。また、11月の米国大統領選挙や年末商戦に向けた貨物の増加により港湾の混雑や労働者不足による作業効率の低下も懸念されています。
米国東海岸では、自動化技術や賃金の取り扱いを巡り、国際港湾労働者協会(ILA)と米国海運連合(USMX)の間で労使交渉が難航し10月1日よりストライキが発生しましたが、同月4日には賃金上げを条件とした暫定合意が締結されています。この暫定合意は賃金上げ以外の内容を協議するための基本契約を延長する措置であり、25年の1月15日までに新契約の合意に至らない場合は、再度ストライキの可能性もあるため注視が必要です。 |
ビートパルプ |
<米国産>
24-25年産ビートは各産地で本格的な製造が開始されています。米国内の繊維源飼料の相場は停滞していたものの、春先から乳価が上昇していることもあり、取引は活発化しています。 |
アルファルファ |
<ワシントン州>
主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、3番刈の収穫作業が終了しており、現在4番刈の収穫作業が終盤を迎えています。収穫された4番刈は山火事による煙の影響もなく、良品が発生しています。南部の一部の圃場では収穫作業が早く進んだことで5番刈の生産も期待されていましたが、9月以降、冷涼な気候が続き、圃場での乾燥に時間を要するため、青刈り品として米国内向けに出荷される見通しです。
依然として、海外からの需要は一定数あるものの、低調な状況が続いており、中国向けについては回復の兆しが見えていません。
<オレゴン州>
オレゴン州クラマスフォールズでは、3番刈の収穫作業が終了しており、現在4番刈の収穫作業が中盤を迎えています。ワシントン州同様に収穫作業の進捗が早かったことから、4番刈まで進む圃場が多くなっています。収穫された3番刈は良品が発生しています。
米国内酪農家は近隣州含めて引き続き成分値が高い品質を買付していますが、荷動きは低調に推移しています。
<カリフォルニア州>
カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは現在7番刈の収穫作業が開始されています。産地では徐々に気温が低下しており、収穫されたアルファルファの成分値も回復する見通しです。灌漑局の発表によると、9月15日時点でのアルファルファの作付面積は137,284エーカー(前年同期は128,950エーカー)で前年同期比106%と増加しています。 |
米国乳価について |
USDA(米国農務省)が発表した9月の全米平均クラスⅢ乳価(チーズ向け乳価)は乳製品100ポンドあたり$23.34と、24年4月($15.50)から月を重ねる毎に回復しており、高値を付けた22年5月($25.21)の水準に戻りつつあります。米国内肥育相場が高値で推移し、肉の需要が供給に追いついていないことで、搾乳牛が肥育向けに出荷、淘汰されており、生乳需給の均衡が崩れたことが乳価上昇の一因です。アルファルファの価格は米国乳価に比例する傾向が強いため、動向を注視する必要があります。
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米国産チモシー |
主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは2番刈の収穫作業が終了しています。当初は1番刈終了後に多くの圃場が他作物へ転作すると予想されていましたが、他作物の相場も低水準であったことから、転作せずにそのまま2番刈のチモシー収穫に進んだ圃場が多く、24年産の総生産量は昨年並となっています。2番刈の品質は降雨や山火事の煙の影響で、上級品の発生は限定的となっており産地価格も堅調に推移しています。 |
スーダングラス |
主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、2番刈の収穫作業が終了しています。産地相場低迷により2番刈に進んだ生産農家が僅かだったため、茎が太い低級品の発生は限定的となっています。
23年産の在庫に加え、未だに22年産の旧穀在庫を抱えている輸出業者もいるため作付面積の減少による供給力に懸念はありませんが、今後の相場次第では今期の生産量と繰り越し在庫より需要が上回ることも考えられるため注視が必要です。
灌漑局の発表によると、9月15日時点の作付面積は6,552エーカー(前年同期は9,773エーカー)となっており、前年同期比67%と、低水準での推移が続いています。
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クレイングラス |
(クレインは全酪連の登録商標です)
主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、4番刈の収穫作業が終了しており、一部の圃場では5番刈の収穫作業が進行中です。DIP実施の影響により、夏場に収穫される日本向けに適さない茎が固い中~低級品の発生は限定的となっています。韓国では高水準で輸入量が増加していることもあり、今後の動向次第では、相場上昇の可能性もあることから注視が必要です。
灌漑局の発表によると、9月15日時点の作付面積は22,541エーカー(前年同期21,870エーカー)となっており、前年同期比103%と増加しています。
25年産のDIP実施による補助金確保を目的とした、牧草以外の農作物からクレインへグラスへの転作が作付面積の増加要因であると考えられています。 |
バミューダ |
主産地であるカリフォルニア州インペリアルバレーでは現在バミューダヘイの4番刈の収穫作業が開始されています。DIPへ参加している生産農家も多くいるため、バミューダヘイの生産は限定的となる見通しです。
灌漑局の発表によると、9月15日時点の作付面積は77,964エーカー(前年同期:67,913エーカー)、前年比115%と堅調に推移しています。 |
ストロー類(フェスキュー・ライグラス) |
主産地であるオレゴン州ウィラメットバレーでは、24年産のストローの生産が終了しています。23年産からの繰り越し在庫が少ないものの、韓国向けでは順調な出荷が続いています。 |
カナダ産チモシー |
主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では、2番刈の収穫が開始されています。天候に恵まれたことから収量も例年並みの見通しと予想されています。
カナダ国内では昨年、干ばつによる影響で牧草不足となったため、旺盛な引き合いが発生しましたが、今年は干ばつの影響もなく、放牧草やチモシー以外の草種も順調に生育していることから、生産農家も牧草の選択肢があるため、引き合いは落ち着いています。今後、冬季備蓄用の在庫を確保する動きも出てくることで荷動きが活発化し、相場上昇の可能性もあることから注視が必要です。
同州中部のクレモナ地区では、8月上旬に1番刈の収穫作業は終了しています。生産農家は相場低迷を受け、転作を視野に入れていましたが、トウモロコシや麦といった農作物の相場も低迷していることから、25年産でも引き続きチモシーを生産することが予想されています。 |
豪州産
オーツヘイ・ウィートストロー |
24年産豪州産オーツヘイは西豪州で収穫が終盤を迎えており、他の地域でも収穫が開始されています。
西豪州では7~8月を通して降雨に恵まれたこともあり、平年並の収量になると予想されています。南豪州や東豪州では生育期の降雨不足で乾燥した気候が続いたことで、茶葉が多く、見た目が良くない品質も一部で発生すると予想されています。また、乾燥の影響で、収量の減少も懸念されており、豪州国内の放牧草も限定的となる見通しのため、引き合いは堅調に推移しています。
豪州海運情勢については悪天候や紅海問題によりアジア地域の積替港に滞留しているコンテナがあるため、依然としてスケジュールの乱れが続いています。 |