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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和6年12月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸航路は乗継航路を含めて主要な本船スケジュールの乱れが続いています。米国では11月末のサンクスギビングデー(感謝祭)から年末において、港湾労働者の休暇が増加し、一部の港では荷役作業が鈍化する恐れがあり、港湾が混雑することが懸念されています。また、米国大統領就任に伴い、中国を始めとする海外からの貨物へ高額の関税措置を適用することも予想されているため、駆け込み需要も増加しています。

カナダでは西岸港湾労組(ILWU Local 514)とブリティッシュコロンビア海事雇用協会(BC Maritime Employers Association)の労使交渉が難航し、ストライキが決行されましたが、労働基準監督機関のカナダ労使関係委員会(CIRB)による仲裁裁定(CIRBが協定をまとめるまで既存協定が延長となる)が実施されたことで、バンクーバー港の稼働は11月14日より再開されています。ストライキによる影響は聞こえてこないものの、カナダでは降雪による海運が乱れやすい時期となるため、動向を注視する必要があります。

ビートパルプ <米国>

主産地のミシガン州では11月頃まで温暖な気候が続いていましたが、現在、気温も低下しており保管状況は良好です。一方で、寒波による嵐や悪天候で作業や物流が不安定になる恐れがあるため、動向には注視が必要です。

アルファルファ <ワシントン州>

主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、24年産の収穫作業が終了しています。24年産を振り返ると、1番刈は春先の生育に適した冷涼な気候や好天に恵まれたことにより、色目が良好で成分が高い上級品が多く収穫されました。2番刈については1番刈同様、好天に恵まれたことにより色目が良好な上級品の発生が中心となりました。3番刈については夏部の気温上昇や、北西部近辺の山火事による煙の影響で乾燥に時間が掛かったため、一部では色褪せた過乾燥気味の品質が発生しましたが、4番刈では煙の影響がなく良品が多く収穫されました。産地相場については、輸出向け需要の停滞により、引き続き低迷しています。

<オレゴン州>

主産地であるオレゴン州クラマスフォールズでは24年産の収穫作業が終了しています。24年産全体を通して好天に恵まれ、収穫作業も順調に進んだことで、多くの圃場で4番刈まで生産されました。

24年産を振り返ると一部の圃場で収穫作業中に降雨被害もありましたが、春先の冷涼な気候により1番刈は葉付が良好な成分が高い品質の発生が中心となりました。2番刈については、7月中下旬に気温が上昇したため、1番刈と比較すると成分は低下したものの、収穫時期を通して天候に恵まれたこともあり上級品が中心となりました。3番刈では高温が続いた中での収穫により一部の圃場で中級品の発生もありましたが、概ね上級品の発生が中心となりました。

産地相場については引き続き、米国酪農家は近隣州含めて成分値が高い品質を買付していますが、荷動きは低調に推移しています。

同州中部クリスマスバレーでも24年産の生産を終えています。1番刈の収穫時期は例年よりも遅かったものの、収穫期の天候が安定していたことで降雨被害はなく上級品が多く発生しました。2番刈では山火事による煙の影響で圃場での乾燥に時間がかかったことから過乾燥な品質のものや、色褪せが多い品質も発生しましたが、3番刈では山火事の影響も無くなり、良品の発生が中心となっています。

<カリフォルニア州>

カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは、DIP(休耕地政策)に参加していない圃場で収穫作業が続いています。現在までの作況を振り返ると、1番刈については春先の降雨で収穫作業が遅れたことにより、刈取り適期を逃した圃場が多く、中級品の発生が中心となりました。そのため、例年、高成分品質を求める中国や中東からの引き合いも弱く、春先は米国乳価も低迷していたことも相まって需要は停滞しました。

以降の刈取りについては、気温や湿度の上昇に伴い、成分値が下がり始めたことで、茎が細い過乾燥なサマーヘイの発生が中心となりました。

灌漑局の発表によると、11月15日時点でのアルファルファの作付面積は149,964エーカー(前年同期は145,411エーカー)で前年同期比103%と増加しています。

 

米国産チモシー 主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは24年産の収穫作業が終了しています。春先の冷涼な気候や、各産地での降雨被害はわずかということもあり、収穫された1番刈の多くは上級品で中~低級品の発生は限定的となりました。2番刈の品質は降雨や山火事の煙の影響で、上級品の発生は限定的となりました。

当初は1番刈終了後に多くの圃場が他作物へ転作すると予想されていましたが、他作物の相場も低水準であったことから、転作せずにそのまま2番刈のチモシー収穫に進んだ圃場が多く、24年産の総生産量は昨年並となりました。

一般的にチモシーは他草種と比較し、馬糧向けや小売店(ペット)向けの販路もあり相対的に換金性が高い作物であることから25年産の作付面積は増加すると予想されています。

スーダングラス 主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、24年産の収穫作業が終了しています。生産農家は23年産の価格軟化に加え、日本からの需要も減少したため、24年産の作付意欲が低下し、作付面積は大幅な減少となりました。作付面積は減少したものの、好天に恵まれたことで、収穫された1番刈は上~中級品の発生が中心となりました。2番刈については産地相場低迷もあり、生産を行わず圃場にすき込む生産者も多くいたため、夏場に多く発生する茎が太い低級品の発生は限定的となりました。

23年産の在庫に加え、未だに22年産の旧穀在庫を抱えている輸出業者もいるため作付面積の減少による供給力に懸念はありませんが、今後の相場次第では今期の生産量と繰り越し在庫より需要が上回ることも考えられるため注視が必要です。

スーダングラスはDIPの対象ではないことや、産地相場の回復目途が立っていないことから、25年産の作付面積も24年産並~減少すると予想されています。

灌漑局の発表によると、11月15日時点の作付面積は1,233エーカー(前年同期は1,399エーカー)となっており、前年同期比88%となっています。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、24年産の収穫作業が終了しています。24年産はDIP実施により夏場の生産は減少し、湿度や気温が高い日があったことから茎が固めで色褪せた品質も発生しましたが、年間を通して良品が多く収穫されました。

25年産でも継続してDIPが実施される見込みのため、夏場の生産は減少すると予想されていますが、作付面積は例年並と予想されています。

灌漑局の発表によると、11月15日時点の作付面積は22,834エーカー(前年同期21,609エーカー)となっており、前年同期比106%と増加しています。

バミューダ 主産地であるカリフォルニア州インペリアルバレーでは24年産の収穫作業が終了しています。灌漑局の発表によると、11月15日時点の作付面積は78,087エーカー(前年同期:69,727エーカー)前年比112%と増加しています。年間を通して、米国内の馬糧向け需要や種子の相場も堅調に推移したことで、昨年を上回る作付面積となりました。
カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区、中部クレモナ地区ともに24年産の収穫作業が終了しています。南部レスブリッジ地区1番刈の品質は収穫期の天候に恵まれたことから上~中級品が中心で、低級品の発生は限定的となりました。

同州中部のクレモナ地区1番刈の品質は、収穫までに乾燥した日が多かったものの生育期間中の降雨や高湿度な気候もあったことから、中級品の発生が中心となりました。競合作物の相場も低迷していることから、25年産の作付面積は現時点で例年並と予想されています。

豪州産オーツヘイ 西豪州:

西豪州の収穫作業は終了しています。生育期間中の降雨に恵まれたことにより、収量は昨年と比較し増加しました。一部の圃場では、乾燥に時間を要したため色褪せたような品質も発生していますが、主に中級品が中心に収穫されています。

南豪州:

南豪州の収穫作業は終了しています。生育期間中の降雨が少なく、乾燥した気候が続いたことで収量は大幅に減少しています。また、降雨不足により枯れたような茶葉や雑草の混入も多いことから、見た目が良くない品質も一部で収穫されています。

豪州国内では放牧用の牧草も生育不良となっており、今後、輸出向けと国内向けで在庫確保において競合する可能性があるため、注視が必要です。

東豪州:

東豪州の収穫作業は終了しています。生育期間中の降雨が少なく、乾燥した気候が続いたことで収量は平年並~以下と地域によって異なっています。一部の地域では、降雨被害もありましたが、例年発生するような低級品は限定的で、収穫された品質は上~中級品が中心となっています。