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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和7年1月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸航路では11月末のサンクスギビングデー(感謝祭)前から出荷が混み合い、本船スケジュールの乱れが続いていましたが、12月に入っても状況は改善されず悪化しており、元々のスケジュールから2~3週間後ろ倒しになっている本船も散見されています。2月には中国の旧正月も控えており、それまでは中国発着の貨物が増加し、旧正月中には中国に発着する貨物の流通量が一時的に低下し、スケジュール調整のため本船を間引き運航する可能性もあるため、動向を注視する必要があります。また、北米西海岸北部(PNW)では降雪の影響で、内陸からの貨車の遅延や、道路の通行止めも発生しており、海運情勢が安定するまでには時間がかかる見通しです。
ビートパルプ <米国>

24/25クロップの産地在庫は売約済で、ビートパルプの製造は5月中~下旬まで続く見通しです。米国内の需要は現在まで堅調に推移していたものの、搾乳飼養頭数の減少や、とうもろこしや大豆粕が豊作であったことから今後、軟化すると予想されています。

アルファルファ 24年産の収穫は終了しました。ワシントン州やオレゴン州では春先の生育に適した冷涼な気候や好天に恵まれたことにより1番刈では上級品が多く収穫されました。以降の刈取り番手では夏場の気温上昇や、山火事による煙の影響で乾燥に時間が掛かったことで、色褪せた過乾燥気味の品質も発生しましたが、全体を通して良品が中心となりました。

荷動きについては、1月下旬の米国大統領就任以降、米中貿易戦争が再発する可能性が懸念されていることや中国の旧正月もあり前倒しの注文も増加しています。

産地在庫について、上級品は米国内向けや輸出向けで完売していますが、相場が好転することを期待し一部の生産農家では中~低級品在庫を保持しているようです。

カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは輸出向けの生産は終了しています。DIP(休耕地政策)に参加した一部の圃場では一定期間水入れを行わなかった影響により根が枯れて再播種が必要な圃場も出ています。25年産でも継続してDIPが実施される見込みのため、作付面積は例年並と予想されています。

灌漑局の発表によると、12月15日時点でのアルファルファの作付面積は149,964エーカー(前年同期は145,411エーカー)で前年同期比103%と増加しています。

米国産チモシー 主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは24年産の収穫作業が終了しました。24年産1番刈は上級品中心の発生となり、中~低級品の発生は限定的となりました。中~低級品を中心に荷動きは順調に推移しており産地在庫の売約も進んでいるため、一部の輸出業者では値上げを行っています。
スーダングラス 24年産の収穫は終了し、作付面積は大幅な減少となりました。主な輸出先である日本向けの需要も低迷していますが、昨年と比較すると出荷も安定しています。23年産の在庫に加え、未だに22年産の旧穀在庫を抱えている輸出業者もいるため作付面積の減少による供給力に懸念はありませんが、今後の相場次第では今期の生産量と繰り越し在庫より需要が上回ることも考えられるため注視が必要です。

また、25年産の作付面積は24年産並~減少すると予想されていますが、現在、小麦の相場も低迷していることから、スーダングラスの作付面積増加が期待されています。灌漑局の発表によると、12月15日時点の作付面積は875エーカー(前年同期は742エーカー)となっており、前年同期比118%となっています。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

産地では24年産のクレイングラスの収穫は終了しました。灌漑局の発表によると、12月15日時点の作付面積は22,915エーカー(前年同期21,542エーカー)となっており、前年同期比106%と増加しています。25年産のDIP実施による補助金確保を目的とした、牧草以外の農作物からクレイングラスへの転作が作付面積の主な増加要因となっており、生産農家もDIPに期待が寄せられています。

日本向け需要については安定していますが、韓国向けは堅調に推移しており、今後の相場に影響を及ぼす可能性もあるため注視が必要です。

バミューダ 24年産のバミューダは国内の馬糧向け需要や種子の相場も堅調に推移したことで、昨年を上回る作付面積となりました。25年産でも更なる作付面積の増加が期待されています。灌漑局の発表によると、12月15日時点の作付面積は77,531エーカー(前年同期:68,236エーカー)前年比114%と増加しています。
ストロー類(フェスキュー・ライグラス) 主産地であるオレゴン州ウィラメットバレーでは、24年産の収穫は終了しています。24年産は降雨を避けるために収穫作業が例年より遅く開始されました。韓国では稲わらが不足していることから安価品として代替されているため、需要は堅調に推移しています。
カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州中部クレモナ地区、南部レスブリッジ地区ともに24年産の収穫作業は終了しており、南部レスブリッジ地区の1番刈の品質は上級品から中級品、中部クレモナ地区の1番刈の品質は中級品の発生が中心となりました。2番刈は輸出需要も低迷しており、カナダ国内で多く取引されています。
豪州産オーツヘイ・ウィートストロー 24年産オーツヘイの収穫作業は終了しています。西豪州では生育期間中の降雨に恵まれたことにより、収量は昨年と比較し増加しましたが、一部の圃場では、乾燥に時間を要したため色褪せたような品質も発生しており、中級品が中心に収穫されています。南豪州では、生育期間中の降雨が少なく、乾燥した気候が続いたことで収量は大幅に減少し、降雨不足により枯れたような茶葉や雑草の混入も多く、輸出向けに適さない品質も発生しています。東豪州でも生育期間中の降雨が少なく、乾燥した気候が続いたことで収量は平年並~以下と地域によって異なっていますが、収穫された品質は上~中級品が中心となっています。

ウィートストローについては現在、収穫作業が本格化しています。西豪州では天候に恵まれたことで、良品が発生していますが、南豪州と東豪州の一部の地域では11月下旬に降雨が続いた影響で変色している雨当たり品が発生しています。