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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和6年11月11日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸航路は乗継航路を含めて主要な本船スケジュールの乱れが続いています。

シンガポールや釜山といったアジア地域の中継地では、輸送需要の高まりを受けて、慢性的な遅延が発生しています。米国の大統領選挙が終了したことに加え、年末商戦に向けた貨物の増加により港湾の混雑や労働者不足による作業効率の低下も懸念されています。

カナダでは西岸港湾労組(ILWU Local 514)とブリティッシュコロンビア海事雇用協会(BC Maritime Employers Association)の労使交渉が難航しており、争議行為としてバンクーバー港にてストライキが開始されました。現時点でカナダ政府の対応やストライキによる影響は不透明ですが、貨物の引き受け停止や荷役作業の中断も予想されることから、港内にコンテナが滞留し、遅延が発生する可能性もあるため動向を注視する必要があります。

ビートパルプ <米国産>

24-25年産ビートは各産地で作業が概ね終了しています。主産地のミシガン州では温暖な気候が続いたことで品質劣化の懸念がありましたが、現在、気温も低下しているため、保管状況は良好となっています。生産量については、砂糖生産の技術も向上していることもあり、前年よりも減少すると予想されています。

アルファルファ <ワシントン州>
主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、大半の圃場で24年産の収穫作業が終了しています。24年産は春先の生育に適した冷涼な気候や好天に恵まれたこともあり、1番刈は色目が良好で成分が高い上級品が多く収穫されました。2~4番刈については、収穫の一部で北西部近辺の山火事による煙の影響を受けましたが、全体を通して、例年以上の良品が多く収穫されています。

輸出向け需要の停滞により、産地では在庫過剰となっており、産地相場は低迷していますが、他農作物も同様の状況から、転作も進んでおらず、現時点においては25年産の作付面積に大きな増減はなく24年産並になると予想されています。

<オレゴン州>

主産地であるオレゴン州クラマスフォールズでは収穫作業の進捗が早く、9月末より日中の気温も上昇したことから生育が加速し、多くの圃場で4番刈まで進み24年産の生産が終了しました。収穫された4番刈は好天に恵まれたこともあり、良品が多く発生しています。

同州クリスマスバレーでは3番刈で24年産の収穫作業を終了しています。2番刈では山火事による煙の影響で圃場での乾燥に時間がかかったことから過乾燥な品質のものや、色褪せが多い品質も発生しましたが、3番刈では山火事の影響も無くなり、良品の発生が中心となっています。

産地相場については引き続き、米国酪農家は近隣州含めて成分値が高い品質を買付していますが、荷動きは低調に推移しています。

<カリフォルニア州>

カリフォルニア州南部インペリアルバレーではDIP(休耕地政策)に参加していない圃場で収穫作業が続いています。米国内需に加え、中国をはじめとする輸出向け需要も依然として低迷しています。

灌漑局の発表によると、10月15日時点でのアルファルファの作付面積は139,302エーカー(前年同期は132,315エーカー)で前年同期比105%と増加しています。

米国産チモシー  

主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは24年産の収穫作業が終了しています。1番刈は冷涼な気候の中、生育が進んだこともあり、上級品の発生が中心で中~低級品の発生は限定的となりました。2番刈は降雨や山火事の煙の影響で、上級品の発生は限定的となっています。

他草種と比較し、馬糧向けや小売店(ペット)向けといった相対的に換金性が高い作物であることから25年産の作付面積は増加すると予想されています。

 

スーダングラス 主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、24年産の収穫作業が終了しています。24年産は産地相場低迷による生産意欲減退の影響で、作付面積は大幅な減少となりました。

23年産の在庫に加え、未だに22年産の旧穀在庫を抱えている輸出業者もいるため作付面積の減少による供給力に懸念はありませんが、今後の相場次第では今期の生産量と繰り越し在庫より需要が上回ることも考えられるため注視が必要です。

灌漑局の発表によると、10月15日時点の作付面積は3,947エーカー(前年同期は4,150エーカー)となっており、前年同期比95%となっています。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、大半の圃場で24年産の収穫作業が終了しています。一部の圃場ではDIPの期間終了後に水入れを行っていますが、株の回復を助ける目的となっており収穫はされない見通しです。25年産でも継続してDIPが実施される見込みのため、夏場の生産は減少すると予想されています。

灌漑局の発表によると、10月15日時点の作付面積は22,624エーカー(前年同期22,061エーカー)となっており、前年同期比103%と増加しています。

バミューダ 主産地であるカリフォルニア州インペリアルバレーでは7割近くの圃場がDIPに参加しましたが、参加しなかった圃場では5番刈の収穫作業が開始されています。種子相場が堅調に推移していることからストローの生産も多く、安価な繊維源として需要も高まっています。

灌漑局の発表によると、10月15日時点の作付面積は78,842エーカー(前年同期:70,167エーカー)、前年比112%と堅調に推移しています。

カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では、2番刈の収穫作業が終盤を迎えています。冬に近づきにつれ日照不足や朝夜の寒暖差で不安定な気候が続いているため、一部の収穫された2番刈は輸出向けに適さない品質となる見通しです。

24年産の作付面積は相場低迷により減少しましたが、トウモロコシや菜種といった他農作物の相場も軟化しているため、25年産の作付面積は大きく変わらないと予想されています。

同州中部のクレモナ地区では、24年産の収穫作業が終了しています。収穫までに乾燥した日が多かったものの生育期間中の降雨や高湿度な気候もあったことから、収穫された品質は中級品が中心となっています。今後、降雪の時期になることからカナダ国内の多くの酪農家は市場動向を注視し、冬季備蓄用に在庫の確保を進めています。

豪州産オーツヘイ・ウィートストロー 豪州では干ばつによる降雨不足が懸念されていましたが、夏季の降雨状況は地域により様々となりました。西豪州では7月、8月を通して昨年を超える降雨に恵まれたものの、東豪州や南豪州では夏季の降水量が昨年を大きく下回りました。9月末~10月からは各地で収穫作業が始まりましたが、降雨の影響で雨当たり品が発生した地域も出ています。

日本向けの需要はスケジュール乱れによる入船過多や自給飼料の使用で低調に推移しています。

 

西豪州:

概ね収穫作業が終了しています。10月の収穫作業中に降雨被害が発生し、一部は輸出向けに適さない品質となりました。降雨の影響により上級品の発生は限定的で、中~低級品が中心となる見通しです。収量については、生育期間中の降雨により、多くの地域で平年並~平年以上の見込みとなっています。ウィートストローについては現在収穫作業が開始されています。

 

南豪州:

概ね収穫作業が終了しており、多くの地域で降雨被害が発生しています。南豪州では豪州国内からの需要も旺盛のため、降雨被害の品質は豪州国内に販売される見通しとなっています。また、生育期間中の降雨不足により、収量は例年の7割程度になると予想されています。

 

東豪州:

収穫作業は終盤戦を迎えており、生育期間中の乾燥した気候が続いたことで収量は平年以下の見込みとなっています。南豪州で発生した降雨が東豪州にも生じており、一部では降雨被害が発生しています。