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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和6年7月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸航路は乗継航路を含めて主要な本船スケジュールの乱れが続いており、遅延が発生しています。スエズ運河近くの紅海での武装組織フーシ派による商業船へ向けた攻撃や、パナマ運河の渇水による通航隻数の制限といった世界の物流を担う地域での混乱も続いており、世界的な物流状況の回復までは時間が掛かる見込みです。世界の物流悪化は欧州~米国間のリードタイム(輸送期間)を長引かせ、主要港やアジアの乗継地での慢性的なコンテナ不足や遅延に影響を与える事態となっています。

また、11月の米国大統領選挙前の需要増加を受け、シンガポールを中心とした東南アジアの港でも混雑が見られ、遅延が発生しています。

カナダでは鉄道労働組合(TCRC:Teamsters Canada Rail Conference)とカナディアン・ナショナル鉄道(CN)および、カナダ太平洋カンザスシティ・サザン鉄道(CPKC)の労使交渉が難航しておりストライキが懸念されています。交渉は現在も続いていますが、進展がない状況が続いているため、今後の動向には注視が必要です。

ビートパルプ <米国産>

24―25年産のビートパルプの播種作業は終了しています。各製糖工場では新穀の製造に向けて機械のメンテナンスを行っており、8月中旬頃から製造が開始される見込みです。主産地であるミネソタ州やアイオワ州では6月中旬に豪雨による洪水が発生しており、生産量の減少が懸念されています。

アルファルファ <ワシントン州>
主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、24年産1番刈の収穫が終了し、2番刈の収穫作業が順次開始されています。24年産の1番刈は、収穫期に降雨の被害もありましたが、生育に適した春先の冷涼な気候や好天に恵まれたこともあり、品質は色目が良好で成分が高い上級品が多く収穫されています。一部の生産農家は1番刈終了後にトウモロコシや豆類に転作しており、産地での24年産生産量は昨年比で減少すると予想されています。

米国内の酪農家からの引き合いは弱く、輸出業者も産地動向に注視しながら必要な分のみ買い付けを行っているため、相場は十分に形成されていません。

中国国内では生乳の供給過剰となっていることもあり、アルファルファの需要は減退していますが、今後回復した場合は市場に与える影響も大きいため、動向には注視が必要です。

<オレゴン州>

カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは現在4番刈の収穫が終了し、圃場によっては5番刈の収穫が開始されています。産地では夏季に入り連日40℃を超える気温のため、成分値が減少し茎が細く、過乾燥気味なサマーヘイ中心の発生となり上級品は限定的となっています。

米国内の酪農家は産地に十分量ある輸出向けには適さない低価格帯の牧草を使用していることから引き合いも落ち着いており、輸出向けについても積極的な買付は行われていません。

インペリアルバレー灌漑局の発表によると、6月15日時点でのアルファルファの作付面積は144,432エーカー(前年同期は151,915エーカー)と前年同期比95%と減少しています。

 

米国産チモシー 主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは、1番刈の収穫作業が終盤を迎えています。コロンビアベースンでは冷涼な気候の中、生育が進んだこともあり、大半が上級品の発生で中~低級品の発生は限定的となっています。

アイダホ州では良好な気候の中、順調な生育が続いており6月下旬より収穫作業が開始されています。収量は例年並みの見通しです。

産地相場はまだ具体的には見えていませんが、米国内の馬糧向け需要も堅調に推移していることや、一部の輸出業者が保有していた繰り越し在庫の出荷目途もつき、24年産は在庫が薄い状況で開始となるため、積極的に買付競争が行われており価格の高騰が懸念されています。

スーダングラス 主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、6月中旬から早い圃場で収穫作業が本格化しています。1番刈の収穫作業終了後、2番刈に進むかどうかを考えている生産者も多く、7月以降はモンスーン(季節風)シーズンに入り、産地の天候も変化する可能性があるため、2番刈で更なる生産量の減少が懸念されています。

23年産の在庫に加え、未だに22年産の旧穀在庫を抱えている輸出業者もいるため作付面積の減少による供給力に懸念はありませんが、今後の相場次第では今期の生産量と繰り越し在庫より需要が上回ることも考えられるため注視が必要です。

灌漑局の発表によると、7月1日時点の作付面積は14,577エーカー(前年同期は23,540エーカー)となっており、前年同期比62%と、低水準での推移が続いています。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、2番刈の収穫作業が終盤を迎えています。24年産は生産農家にとって利益が出るような相場ではないため、3番刈で生産を終了する圃場が多くなる見通しです。なお、ファロープログラム(休耕地政策)について、政府当局内での協議は最終局面を迎えていますが、実施の有無については未だ決定されていません。

韓国向けでオレゴン産ストローの在庫が限定的ということや他草種と比較しても安価な位置づけということもあり、代替としての需要が増加しています。

灌漑局の発表によると、6月15日時点の作付面積は21,241エーカー(前年同期22,190エーカー)となっており、前年同期比96%とやや減少しています。

バミューダ 主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、バミューダヘイ2番刈の収穫作業が終盤を迎え、早い圃場では3番刈の収穫が開始されています。1~2番刈で収穫された殆どは馬糧向け上級品として出荷されています。一方で種子の収穫も開始しており、終了次第、副産物のストローの収穫も始まる見込みです。

灌漑局の発表によると、6月15日時点の作付面積は67,626エーカー(前年同期:65,066エーカー)、前年比104%と、新規宅地の芝向け需要の増加が一因となっています。

ストロー類(フェスキュー・ライグラス) 主産地であるオレゴン州ウィラメットバレーでは、24年産の播種作業が終了しました。生育状況は良好で、ペレニアル種のライグラスストローは7月中旬から収穫が開始される見込みです。種子相場が低調に推移していることから、副産物であるストローの供給量は例年より少なくなる見通しです。
カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では昨年、干ばつの影響を受けましたが、今年は降雨に恵まれており土壌状態は良好です。1番刈の収穫作業は7月中旬頃から開始される見込みです。

同州中部のクレモナ地区では、春先の降雨で土壌状態は良好でしたが、6月に入り乾燥が続き、気温が低かったこともあり、生育状況は例年と比較して1週間程度遅れています。今後、収穫までに適度な降雨がない場合は品質の低下や、収量の減少が懸念されています。1番刈の収穫作業は7月下旬から開始される見込みです。

カナダ国内では、放牧用の牧草在庫があることからチモシーの需要は停滞していますが、収量不足を見越して追加で牧草の買付を行う酪農家もいるようです。

豪州産
オーツヘイ・ウィートストロー
24年産のオーツヘイの播種作業は概ね終了しており、生育状況は冷涼な気候により遅れています。6月は各地域での降雨状況が異なり、東豪州では例年並みの降水量、西豪州と南豪州の一部では例年の半分程度の降水量となりました。今後の降雨量次第では収量へ影響を及ぼす可能性があることから注視が必要です。

先月に引き続き、韓国および台湾向けの輸出量は例年をやや上回る水準で堅調に推移しています。日本向けは海運の乱れやゴールデンウイーク後の需要停滞もあり落ち着いています。

豪州海運情勢については紅海問題やアジア地域の積替港に残留している大量のコンテナの影響により、スケジュールの乱れが続いています。